神社に着くともうすごい人だかりでナナは「人がいっぱいだねぇ」と変に感心していた。
お母さんからもらったお小遣いは1000円だからあまり贅沢はできないな。
「ナナはなにか欲しいものある?」
境内の両脇にたくさん並んだ出店を眺めながらナナに聞いてみる。
「りんご飴と、えっと、綿アメ!」
ナナは人が多くてそのままじゃ出店ののれんが見えないらしく、何度もジャンプして食べたいものを確認していた。
りんご飴は小さいのを2つ、綿アメは1つを2人でわけることにした。
「おっきぃ綿アメー」
片手に綿アメを持ってナナはご機嫌だ。
りんご飴を舐めながらぶらぶらと出店を物色して歩く。
残りはあと300円。
焼きそばでも買おうかなと思っていたら、ナナがなにか見つけたらしくつないだ手を引いてきた。
「お兄ちゃん!白い金魚!」
ナナが指差す金魚すくいの小さなプールの中をのぞき込む。
「ホントだ。真っ白!」
ほとんどが赤や黒の金魚の中でその一匹だけの白い金魚はひときわ目立っていて、優雅に尾ビレをゆらしなが泳いでいた。
「お兄ちゃん、金魚すくいやろう!」
「うん!」
ナナの提案に僕はすぐ賛成した。