「金魚とれなかった」
ナナはかなり落ち込んで涙目になっている。
「あと100円しかないから仕方ないよ」
「白い金魚欲しかった」
ナナは水の中を楽しそうに泳ぐ白い金魚をじっと見つめて動こうとしない。
「そろそろ帰らないとお母さん心配するよ」
そう言ってナナを引っぱるけどなかなか動かない。
「お嬢ちゃんこの金魚がそんなに気に入ったのかい?」
「うん、白いのキレイなの」
見かねて金魚すくいのおじさんがナナに声をかける。
「坊主あといくらあるんだ?」
「100円です」
「じゃああと一回だけやらしてやるよ」
そう言っておじさんは僕にポイを渡してくれた。
100円をおじさんに渡して金魚と向かいあう。
「ポイを水平に水にいれて端のほうで一気にすくってみな」
おじさんのアドバイスを守ってポイを水を切るように走らせて金魚を端でとらえた。
そのまま一気にすくいあげる。
金魚は暴れたけど端だからか紙は破れることなく金魚をそのままお椀の中へ。
「やった!」
「お兄ちゃんすごい!」
ナナは飛び跳ねて喜んでる。
おじさんがビニール袋にいれた金魚を受け取ってお礼を言う。
「おじさんありがとう」
「おじさんバイバイ!」