帰り道、ナナは白い金魚を見つめながらホントに嬉しそうに笑っていた。
家に帰ったら母さんが迎えてくれて、金魚を水槽に入れてくれた。
はしゃぎすぎて疲れていたのか夕ご飯を食べてお風呂にも入ったらナナはもう寝てしまった。
母さんと2人でリビングでテレビを見ていると母さんが僕の手を握りしめて言った。
「今日はありがとうねコータ」
「ナナ、明日泣くだろうね」
僕は明日父さんの待つ東京に帰る。
父さんと母さんが離婚したのは一年前。
僕は父さんに、ナナは母さんに引き取られた。
「コータさえ良かったら一緒に暮らしても」
「お父さん1人だとかわいそうだから」
母さんの言葉を遮って自分の意志を伝える。
母さんにはもう新しい旦那さんがいるけど父さんは1人だ。
僕は母さんも好きだけど父さんも大好きだった。
ナナと離ればなれなのは寂しいけどナナには母さんが必要だ。
だから僕が父さんと一緒にいることにしたんだ。
「じゃあもう寝るね。おやすみお母さん」
母さんは僕を抱き寄せるとおでこにキスをしてくれた。
「おやすみなさい」