翌日もお使いを頼まれた。
嘉代は運転手が息子だったので、即座に話し掛け始めた。
「嘉代ちゃんは付き合ってる人とかはいないの?」
「いません!」
ムキになって否定してしまったが、もう自分の中で抑えられなくなっているのでどうしようもなかった。
「運転手さんは?」
「前、いたなぁ。」
「別れちゃったんですかぁ。残念ですね。」
運転手は急に落ち着いたトーンで話し始めた。
「亡くなったよ。手遅れだったらしい。」
「あ…すみません。余計なこと言いました。」
「良いんだ。幸端(ユキハ)ちゃんて言ってね…病院で会った。親父がたまに腰を悪くするから付き添うんだけども、その時に。……中学生になったら退院出来るんだって彼女、信じ切っていた。」
「え!?じゃあ幸端ちゃんは小学生?」
聞いたような話だと、嘉代は思い出していた。
「自分の部屋が用意されていたらしい。お母さんに頼んで、俺宛の手紙をこっそりそこに隠したから…取りに来てくれって……その翌日、亡くなった。その家がどこにあるかも、分からず終いだ…。」
運転手は静かに話していたが、嘉代は心の中で「もしかしたら」と思い始めていた。