エリザベスドール(25)

ぐうりんぼ  2008-08-16投稿
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バタバタン!

部屋の出入り口の大扉が閉まった。

メイド嬢が扉を開けようとしたが、鍵も掛かってないのに開かない!

「お嬢様! お嬢様!
どうなさいました!?

お嬢様! ドアを開け下さいませッ!」

ガチャガチャ!

ドンドン!

メイド嬢は必死になってドアノブを回したり扉を叩くが応答無し。


部屋の中ではフレデリカとディックが恐怖で立ちすくんでいた。

テラスへ通じる窓が開かれ、外の雪まじりの風が吹き込んでいる。

「な、何ィ!?」

フレデリカの目に映るのは、フリルの付いた長めのスカートのドレス衣装に帽子姿の女のコ。
…もとい、等身大の人形だ。

「こ、コイツ…!
ルークが僕の恋人だなんてぬかしていた…エリザベスじゃねえか!
どうなってんだよッ!?」

「ディック、知ってたの!?」

「アイツのウチに飾ってあったからな!」

「飾りモノの人形が何故、動くのよッ!?」

「俺が知るかよッ!」
ゆっくりと2人に近付くエリザベス。

2人は震えながら後退りした。

「チョット、私たちをどうするつもりなの!?」

「フレデリカ・アンドリュー…」

エリザベスは鬼のような形相で、いきなりフレデリカに飛び掛かった。

フレデリカは体当たりされた弾みで後ろへ転倒!

床に仰向け状態になった時、エリザベスが馬乗りになった。

「や、やめて! 何すんのッ!?」

フレデリカは激しく抵抗するが、相手に力強く押さえ付けられて身動きが出来ない。

鋭い眼でフレデリカを睨むエリザベス。

「オマエヲ…! コロス!」

「えッ?」

フレデリカが一瞬気を抜いた時、左胸辺りに強い衝撃を感じた。

断末魔の叫び声を上げるフレデリカ。

ディックは助ける事さえ出来ず、震えるばかり。

エリザベスはゆっくりと立ち上がった。

べっとりと返り血を浴び、衣装は血で真っ赤である。
血でべっとりの両手にはそれぞれ.食事用のナイフが握られている。

フレデリカは目を剥いたまま息絶えていた。

ナイフを床に放り投げたエリザベスはディックの方に振り向いた。

後退りするディック。

喧嘩では誰にも負けないが、化け物人形が相手じゃあ怖くて手が出ない。
逃げるしかない。

つづく





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