バタバタン!
部屋の出入り口の大扉が閉まった。
メイド嬢が扉を開けようとしたが、鍵も掛かってないのに開かない!
「お嬢様! お嬢様!
どうなさいました!?
お嬢様! ドアを開け下さいませッ!」
ガチャガチャ!
ドンドン!
メイド嬢は必死になってドアノブを回したり扉を叩くが応答無し。
部屋の中ではフレデリカとディックが恐怖で立ちすくんでいた。
テラスへ通じる窓が開かれ、外の雪まじりの風が吹き込んでいる。
「な、何ィ!?」
フレデリカの目に映るのは、フリルの付いた長めのスカートのドレス衣装に帽子姿の女のコ。
…もとい、等身大の人形だ。
「こ、コイツ…!
ルークが僕の恋人だなんてぬかしていた…エリザベスじゃねえか!
どうなってんだよッ!?」
「ディック、知ってたの!?」
「アイツのウチに飾ってあったからな!」
「飾りモノの人形が何故、動くのよッ!?」
「俺が知るかよッ!」
ゆっくりと2人に近付くエリザベス。
2人は震えながら後退りした。
「チョット、私たちをどうするつもりなの!?」
「フレデリカ・アンドリュー…」
エリザベスは鬼のような形相で、いきなりフレデリカに飛び掛かった。
フレデリカは体当たりされた弾みで後ろへ転倒!
床に仰向け状態になった時、エリザベスが馬乗りになった。
「や、やめて! 何すんのッ!?」
フレデリカは激しく抵抗するが、相手に力強く押さえ付けられて身動きが出来ない。
鋭い眼でフレデリカを睨むエリザベス。
「オマエヲ…! コロス!」
「えッ?」
フレデリカが一瞬気を抜いた時、左胸辺りに強い衝撃を感じた。
断末魔の叫び声を上げるフレデリカ。
ディックは助ける事さえ出来ず、震えるばかり。
エリザベスはゆっくりと立ち上がった。
べっとりと返り血を浴び、衣装は血で真っ赤である。
血でべっとりの両手にはそれぞれ.食事用のナイフが握られている。
フレデリカは目を剥いたまま息絶えていた。
ナイフを床に放り投げたエリザベスはディックの方に振り向いた。
後退りするディック。
喧嘩では誰にも負けないが、化け物人形が相手じゃあ怖くて手が出ない。
逃げるしかない。
つづく