さらに言うと、私はその先生に恋心にも似た憧れの感情を抱いていた。
だけどその先生は40歳近かったし、結婚して子供もいる。もちろん中学生だった私はただ単に憧れているだけだった。
どうやら私は先生を好きになりやすい体質みたいだ…
けれど今回の中澤先生の場合は今までとは違う。生徒と教師だったら犯罪チックだし諦めがつく。でも年が3歳差の教育実習生と教師なら社会的にもアリな話なのだ。
これはこれで困る。私はかなり奥手だから、年上の先生にアプローチするのにも、かなりの覚悟をしなければならない…
考えて少し憂欝になったところで私は家を出た。
学校から近いといっても、私の家の前は学校の塀で中の様子は見えない。2時間ほど前には中澤先生の声が聞こえていたのに、今は体育の授業を行ってないようだ。何も聞こえてこない。
距離はこんなに近いのに、この塀が私と先生との距離をとても遠く感じさせた。
私は自転車に乗り、家から5分くらい行ったところのコーヒーショップへ向かった。今日は大学の授業が無く、友達と教員採用試験の勉強をするために約束をしていたからだ。
「千春〜」
店に着くと、先に来ていた友人が私を手招きした。