新学期。
「ギリギリセーフ、オハヨー。」
「梨沙、セーフちゃうって!もぉ、ほんま毎学期恒例の初日遅刻、記録更新中やな。」
そんな事を言ったのは私の大親友の瑛美。私達は生まれた時から一緒で、家族も結構仲が良い。
「おーい、バカ野…」
「バカ野ちゃうわ、紺野じゃ!!夏休みで優太、馬鹿になったんちゃうか?」
「ハイハイ。ちょっとええか。」
「えーよ。」
「俺さ、スキな奴、出来てん。」
チクッ。
なぜか心の奥が急に痛くなった。
「あっ、そうなんや。」
それ以上、何も言えなくて…
そのまま、走った。優太が見えなくなっても、ひたすら走った。
何ドキドキしてんねんやろ…
何悲しんでねんやろ…
その時気づいた、私は今までずっと支えてくれた織部優太が、私の一番大きな存在になっていて…
スキになってしまったと言う事。