「今、亜紀は何をしているの?」
「介護施設で、住み込みで働いてるのよ。
昼も夜もない感じだから、毎日があっという間に過ぎて行く感じ。
海を見渡せて、とても素敵なところだから、私にはもったいないくらいの充実した環境なのよ。」
「良かったね。亜紀。今まで頑張ってきた分、幸せにならないとね。」
「ありがとう」
亜紀は、裕樹が以前より大人びているのを感じた。
とても嬉しかった。言われた言葉もそうだが、繊細な裕樹をいつだって心配していたから。強くなった裕樹を心から嬉しく思った。
「亜紀…。僕は今でも亜紀が好きだ。気持ちはずっと変わらなかった。
でも、ここのところ亜紀に出会うのが怖くて怖くて仕方が無かった。ケジメをつけなければいけないんだ。
今度は本当に守りたい人がいる。
どん底を経験した僕が、少しずつ自分を取り戻すのに、彼女が必要だった。
僕の事も必要としてくれた彼女に応えないといけない。
そういう愛の形もあるんだっていう事に気付いたんだ。
これは、敢えて亜紀に言う事ではないのだけれど。本当の気持ちを亜紀にだけは分かって欲しくて…」