彼は香田の部下、七級官士である藤川翔平。漆黒の髪に黒い眼の、美しい少年だ。
「何処ですか？まぁ、地獄でないなら何処でもいぃんスけど。」
翔平と香田は仲が良かった。面倒見の良い香田は好かれていたし、副将補佐という地位から、信頼もされていた。
「同感だな。あそこの連中は揃いもそろってガラが悪いからな。でも安心しろ。世界だから。」
そう言って、香田は翔平に書類を渡した。
「相棒がお前より上官だが気にすんな。なんかあっちが厄介な事になってるらしいからやり手が必要なんだとよ。」
書類はズッシリと重たかった。任務の主旨や、世界における法則などを事細かに記してある。それも、翔平は世界への出張が初めてである事を考えれば納得がいく。が、最後の一枚を読んだ翔平は少なからず動揺していた。彼は上官とかそういった類のものを嫌っている。それは別に過去のトラウマだとか重たい理由を抜きにして、ただ単なる彼の性格だ。
最後のその一枚には、今回の出張の相棒のことが記されてあったのだ。
名前は黒澤秋桜。地位は、香田と同じ副将補佐。
ここで、デッドセロの仕組について語る必要がある。 そもそも、何故デッドセロの死神は、四つの空間に均等に魂が行き渡るように整備をしているのか。
もし仮に、一つの世界に魂の数が偏ったとしたならば、存在のいない空の空間は消滅してしまうだろう。その時、残った三つの空間はどうなるのか？四つあって初めて成り立つ空間であるが故に崩壊せざるを得ないのだ。
だから死神は、空間において無くてはならない存在であるといえる。
そういった理由を踏まえると、能力を持っている死神の存在は絶対的な物になってくる。それを濫用する者が出て来てもおかしくない。 そんな時、綺月斬羅琉暗は思った。「私が統率すれば良い」と。
まず琉暗は、高い能力を持つ十二人の死神を自らの監視下においた。彼等には、既にそれぞれ支持者が幾人か付いており、そのまま隊として纏めさせた。そうしてその十二人を大将とする十二分隊が確立したのだ。
十二分隊制は現在も変わってはいない。
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