私はその友人の座る方へ向かった。
友人の名前は桐原美優
同じ中学出身で、彼女も1ヶ月前まで一緒に教育実習をしていた仲間だ。ちなみに教科は英語。実習の前までの茶髪は、今は不自然な黒に染められている。どちらかというと派手めの格好が似合う子だ。
中学時代には何度か話したことのある程度で、卒業してから一度も会っていなかった。しかし成人式の時、お互い大学で教職過程を取り、実習先も中学を希望していたことを知って話が盛り上がり、仲良くなったのだ。今日のような勉強会もここ最近定期的に行うようになった。
「今日は中澤先生に会った?」
アイスティーを飲みながら美優が聞いてきた。美優は唯一私が中澤先生のことを好きだということを知っている人物なのだ。といっても、本当に好きだと言ったら引かれるので、かっこいいよね〜程度しか言っていない。
「ううん。でも声は聞こえた。」
無意識にニタニタした表情になって私は答えた。
そんな私の表情を見て美優は
「はいはい。よかったね〜」と心なく返答した。
勉強会といっても、私は国語、美優は英語と教科が違うし、結果的に喋りがメインになってしまう会だった。