「桜って、世界にもあるって知ってた?」
少女は頬を桜色に染めて、翔平の応答を待った。
「知らねぇな。同じのがあるのか?」
少女は頷いて続けた。
「じゃあコスモスってゆう花は?」
「知らねぇよ。もう暗いから家に帰りな。こんなトコにいたら危険だぞ」
彼女は、翔平の期待外れな返事に少し膨れっ面をした。長椅子から立ち上がると、思っていたよりも背が高くて、顔も意外と大人びて見えた。「ごめんね、変なこと聞いて。」
そう言うと、本部の中へ入っていった。
翔平は一瞬目を疑った。部外者は立ち入り禁止ではなかったか?彼女が本部に勤めているようには見えなかったからだ。
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デッドセロ本部の一室に、じっと耳を澄まさなければ聞こえない程の話し声が響いていた。
「まったく、冥界はクサってるぜ。なァ大将サンよぉ」
「言いたい事ははっきり言えよ。」
「あかんなぁ、ハッキリ言ぅたら皆々様にも分かってまぅやろが。大将サンは分かってはるやろ、賢いけんなぁ」
「・・・・。」
「どなぃかしてくれるよなァ」
「この間言った通りだ。その他にどうこうする気は無い」「やった!よろしゅぅな」
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