「くそっ!」
ロザラムは砦の裏手にある林の中で、怒りに任せて剣を振り回していた。
奴ら、完全にあの小僧達の言う事を信じてやがる…何て事だ…!―\r
痛いほど唇を噛み締めながら、ロザラムは肩で息をした。
「どうかなさったんですか?」
「!」
ロザラムは突然の呼びかけに、飛び上がらんばかりに驚いた。
声のした方へ慌てて振り返ると、そこには昨日、セイル達の世話をした女性騎士が立っていた。
「…何だ、ユミナか。何でもない。ちょっとストレスを発散していた所だ」
ロザラムはふっと小さく息を吐くと、剣を鞘に収めた。
「そうですか…事件もありましたし、あまり無理をなさらないで下さいね」
ユミナは心配そうに、ロザラムを見た。
「ありがとう。それじゃ、私は戻るよ」
ロザラムはそう言って、ユミナに向かって手を振りながら、その場から立ち去っていった。
「…」
ユミナはロザラムの背中が見えなくなると、うっすらと笑みを浮かべながら、腰に提げた剣を抜き放ち、目にも止まらぬ速さで一閃した。
「ふふふ…」
ユミナは自らの青い髪をかき上げながら、
「もう一度会ったら、その時が貴方の最期よ…」
と、邪悪な笑みを浮かべて呟いた。