「なっ…」
黒スーツの凶刃に倒れたのは少女だった。しかも、ランスォールを庇って。
「こんの…ヤロッ!」
少女を刺した黒スーツは倒したが次から次へと同じ格好をした奴等が現れ、これでは埒があかない。
その時だった。
路地裏の上空から誰かが叫んだ。
「ランスォール!こっちだ!」「ラ、ラウフ!?」
「いいから早くしろ!」
路地裏の上空から現れたのは青い髪の青年だった。
青年はランスォールを怒鳴り付けると黒スーツをなぎ倒して走り始めた。
ランスォールも少女を抱えて青年に続いた。
青年の活躍でうまく黒スーツをまくと二人は小さなテントに身を潜めていた。
「ラウフ、助かったよ。」
「いや、そんなんはいいけどよ…」
少女が目を覚ましたため、青年は言葉を飲んだ。
「う…」
「大丈夫か?」
少女が起き上がった。
この時初めて知ったのだが少女の長い髪は綺麗な銀髪だった。
「…行かなくちゃ」
少女はそんなことを呟いてテントを出ようとしたが痛みですぐに崩れた。
「おいおい、そんな体で出てっても死ぬぞ?」
「私は…死ねないから。」
少女のおかしな言葉に二人は首を傾げるしかなかった。