「フレデリカは僕と付き合おうとして、人形の怒りを買った」
ルークの見方である。
「そうだ」
「何て事を…、殺す事はないだろう…」
エリザベスの非情な行為に、ルークは強い憤りを感じるのだった。
警部は注目する。
「君はよっぽど…、人形に好かれているんだね。
しかも、1人占めにされようとしている」
「…」
内心、複雑な気持ちのルーク。
「君自身はどう思ってる?」
「人形から好かれる事自体はどうもありません。
だけど、その為に犠牲者が出るのは嫌です」
「だろうね」
「警部、何とか人形を探し出して説得したいと思っているんですが…、人形の居場所が分からなくて」
「君のウチには来ないのかな?」
「全然。警察の方で捜索して欲しいと思っているんですけど」
「今、市内全域に緊急配備を敷いて行方を追っているよ。
君のウチの周辺にも、私服の警官を張り込ませているから。
もし人形を見つけたら、彼らか私の方に連絡したまえ」
「分かりました」
そこへ、係員がやって来た。
「モグレ警部、聴取終わりました」
「ああ、ご苦労」
係員の後ろに付いて来ているディック・ブラウンにルークは視線が行く。
随分と暗い表情をしている。
ルークは話しかけてみようと歩み寄ったが、警部に止められた。
目の前を通り過ぎて行くディック。
横にルークがいる事も、気付かないようだ。
警部が話しかける。
「今は話しかけない方がイイ。ディック・ブラウンはフレデリカが人形に襲われるのをずっと、見ていたんだ。
しかも彼自身も人形に襲われているからね、かなりショックを受けているみたいだ」
「…」
ルークも暗い表情になって、ディックの後ろ姿を見届けた。
つづく