エリザベスドール(29)

ぐうりんぼ  2008-08-22投稿
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お姫様嬢は相変わらず、こちらを振り向こうとはしない。

ジッと前を向いたまま、何も言わないお姫様嬢。

ハックは彼女に近寄り、肩に手を置いた。

「えッ!?」

変だ。

肌で感じた、冷たくて妙な感触。

生身の人の肩の感触とはほど遠い、固い感触なのだ。

アルバイトで衣類専門店で働いていた時、衣装を着ているマネキンを扱った時と同じ感触だ。

「君、誰なの? 顔見せてよ」

「…」

お姫様嬢はゆっくりと、ハックの方に振り向いた。

ハックが目にしたのは…、

 ────────

クランズたちが又、お喋りに夢中になっている時、ハックの悲鳴が聞こえた。

4人は何事かと、ハックの方に振り向いた。

見ると、ハックは道路に座り込んでいる。

あのお姫様嬢は何事もなかったように立ち去って行った。

4人はハックの所へ。

「よう! どうしたハック!?」

「お姫様の格好したオジサンかオバサンだったのォ?」


仲間たち笑みを浮かべながら話しかけた。

ハックは青ざめた表情で言った。

「アレは…、人間じゃない!」

「人間じゃないって?さっきのお姫様が?」

「じゃあ何なのォ?」
仲間たちが質問して来るがハックは、

「…」

震えて声が出ない。



つづく





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