カーニバル!√3

四十万  2005-11-07投稿
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黒い煙のせいで視界はとてつもなく悪かった。それ以上に気にかかるのは鼻がもげるかと思うほど酷い悪臭。警官たちは突然の事態に混乱を隠せない。
落ち着きを取り戻すために警官は無線機を握った。
「煙が酷くて何も見えない!仲間の安否もわからん」下手に撃つと仲間に被害が及ぶ。この状況では銃も意味を成さなかった。無線機の向こうから、ジッポに火が付く音が聞こえた。
「こんな時に何やってんだ。仲間が死んでるんだぞっ」この非常事態、悲しみに暮れていて良いことはない。だからといって、してはいけないことがあるだろうと彼は憤った。
『―-さっきより電波の状況が改善されて話しやすくなったな』相手に反省の色はない。彼は怒鳴った。
「ふざけるな!!」彼は無線機を地面に投げつけた。そのままそれは煙に紛れて見えなくなった。徐々に煙が晴れてきた。警官はいつでも発砲できるよう、身構えた。
『聞こえてるな』離れた場所で無線機が唸った。警官の目の前の煙が風に流されていく。-―F部隊の仲間が、血塗れになって地面に転がっていた。警官は目を疑う。あれは、生きてない。
『さっきから黙ったままだが何か見つけたか?』煙が晴れて見えてきたのは、警官にとって絶望的な光景。闇を背景に、真赤な血溜まりが広がっていた。
「『こわいだろ』」
警官の後頭部に堅い物が当てられた。突然の事で体が動けなかった。この緊張の中で働いたのは嗅覚だけで、火薬のにおいがつんときた。
「『なんで、こんな目にあっちまったんだろうな』」警官の頬に汗が伝う。一瞬で、永く、重い時が流れた。
 ドウン-―銃声が墓石揺らした。
「答えはカンタンさ。あんた達は死ぬ事が決まってた。そして、オレがオリバー・ロイだからだ」
そうケルベロスの皮肉名をもつ男は、人だったもののそばでたばこを吹かしながら呟いた。
→ツヅク



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