信じたい―メール―

ぱいん  2008-08-23投稿
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秋と冬の中間の季節に一通のメールがきてた。
〈アド変しました。確認のため返事ください〉
(誰だろう‥明日みんなに聞いてみよう)


「うちにアド変のメールした?」
「してない」

みんなしていなかった。家に帰っても、アド変のメールが気になっていた。風呂に入ってるとき、ふと結城のことが頭に浮かんだ。でも、まさかなって思ってあまり深く考えなかった。勇気を振り絞ってメールした。
〈誰?〉
すぐ返信がきた。


〈池田〉

池田結城‥びっくりした。そのまさかが的中したのだ。
〈久しぶりだね〉
〈おう〉
しばらくメールしていた。
〈きまづいな〉
〈そおだねっ〉
なんか、別れた相手にメールするのがきまづかった。でも、メールは続いた。終わりたくなかった。2人の関係は電波で繋がってるのだから。なんでもいいから、繋がっていたかった。結城をメールを通して、感じたかった。
〈好きな人できた?〉
聞きたくないけど、聞きたかった。
〈いないよ〉
良かったって、心のどこかで喜んでる自分がいる。それが嫌だった。
〈そっかぁ〉
〈彼氏できたか?〉
彼氏か‥形だけならいるよ。でも、結城だけには言いたくなかった。
〈もし、いたら?〉
〈きみが幸せなら〉
結城にしたら、うちの存在はきみでしかないんだ。
〈いないよ〉
〈俺に彼女がいたら?〉(本当はいるの?)
〈結城が幸せなら〉
同じことを打った。あたしは結城って言ってるのに‥結城はきみとしか呼んでくれないんだ。そりゃ、彼女じゃないんだもんね。そんなの当たり前だよね。こんなこと考えてるあたしっておかしいね。

目を閉じると、涙腺ができていた。そのまま、眠りについた。

早く寝て今日のメールのことを、忘れたかった。結城はもうあたしのこと、好きでもなんでもないんだね。メールして気づいたんだ。

こんなことなら、アド変のメール送ってきてほしくなかったよ。

あと少しで、忘れられたのに‥

なんで忘れられたときに現れるの?

そんなのずるいよ‥

結城、ばいばいね。

もう、メールすることはないから。

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