お母さん。
あたしの心配ばかりして。
お母さんの方が何倍も忙しくて、大変な毎日を送っているのに。
『奈央。聖人君は、この事知ってるの?!』
『薬を飲んでる事?!ううん。聖人には言ってないよ。』
『どうして?!聖人君には話しておいた方がいいと思うわよ。
好きな人だからこそ、大事な事は話しておかないと。』
『うん。そうだね。今度話してみるね。』
“スキナヒトダカラコソ――”
そうかも知れない。
あたしも、聖人が生まれつきの心臓疾患と、喘息持ちだと言うのに、
あたしが心配すると、何時も半信半疑ではぐらかされてたコトに、
凄くたまらない気持ちになって――
凄く切ない気持ちになって――
その不満が募った感情を、
思いっきり聖人にぶつけたコトがあったんだ。
スキナヒトダカラコソ――\r
何でも話して欲しいんだって――
もっと自分の体を大切にして欲しいんだって――
その時、聖人にそう言った筈だった――
聖人のコトをもっと知りたいあたしだから――
あたしも――
聖人にあたしのコト、隠さず話さないといけないんだ――
ふと気が付けば――
さっきからフレンチトーストを持つ手が止まっていた。
『何考え込んでるの!!奈央は母さんの遺伝子受け継いでる筈だから大丈夫よ!!』
母があたしの顔をじっと見つめながら言った。