昔、心臓移植をした氷凪。
昔、彼女を亡くした鴻。
二人の切ない恋物語。
――君に大切な人はいますか?―\r
ある晴れた日。三浦 氷凪は急いでいた。
「も〜何でこんな日に寝坊何かするのよ〜!」
今日は氷凪にとって
とても大切な日
5年前の今日、氷凪は親友だった
結真から命を貰った。
その代わりに結真はこの世を去った
その日から氷凪は結真の分まで
一生懸命生きている。
そして今日は結真がこの世を去って五年目。
毎年この日は早く起きて
一日中お墓で拝んでいる。
なのに今日は寝坊してしまった。
氷凪が街中を走っていると、
思いっきり誰かとぶつかった。
―――――ドンッ――――
「ッたぁ〜〜〜。」
「ぅわッ」
氷凪がぶつかった相手を見ると
それは見知らぬ男だった。
「君、大丈夫?」
その男は微笑み氷凪に手を
差し伸べた。
その瞬間…
――――ドクンッ――――
氷凪の心臓が強く波打った
「あの!あなた私と何処か
で逢ったことありませんか
?」
考えるよりも先に声が出ていた。
「ないよ!」
その男の人はそう答えて
去って行った。