桜との話は、大体が木についてだった。
「大和君、木が多くある所ってどこだと思う?」
「木って言われても、山だと思うよ。あそこならくさる程あるし」
そんな会話以外に、桜が他の人と違うと感じるのは、行動にもあったから。
「大和君、木ってね、人より何十倍も生きているんだよ。知ってた?」
「そりゃあ、こんだけでかけりゃねぇ〜」
平凡な答えに桜は、
「生きるって、すごいよね?私もたくさん、生きたいなぁ」
木に抱きついて話す桜に、「人間だって、たくさん生きられるじゃん」
「生きる年月が違いすぎるよ」
いまだ、木に抱きついていた。
桜の生きる事に、当時の私は、何の事だか分からなかった。ただ、わかっていたのは、桜は不思議な子なんだって事だ。