「でも近くていいよね。私なんか10分以上かかるし。補習の前の日は千春の家に泊めてほしいわ〜。」
美優は春頃から私たちの母校の中学で放課後、英語の授業についていけない生徒のために補習のボランティアをしていた。私も昨年から大学の近くにある高校で放課後の補習教室のボランティアをしているのだが、私も中学でやればよかったと今更後悔している。中澤先生情報も美優からよく仕入れるのであった。
「そういえば、中澤先生って話し方がたまに関西っぽくない?」
「あ〜そうだね。しゃべり方は標準語だけど、時々イントネーションが関西弁っぽくなるよね。どこの出身なんだろ〜?あとなんで埼玉の先生になったんだ?東京ならわかるけどさ…」
中澤先生について、知ってることは本当に少ない。少し悲しくなってきた…。私は、思い出せることはないか、実習中のことを思い出してみた。
中澤先生とはあまり話せなかったが、朝の打ち合わせの時など先生の声を聞く時に、ふとイントネーションの違いにほほえましく思ったことは何度かあった。また先生の机にはいつもお菓子が置いてあって、私は先生の見た目とのギャップにやられてしまった。