エリザベスドール(31)

ぐうりんぼ  2008-08-24投稿
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家の中は勿論、静か。

しかし何だか、異様な空気に包まれているような感じを受ける。

緊張した思いで部屋のドアを開けて電気をつけてみる。

…すると、いた。

エリザベスだ。

椅子に腰掛けたまま、窓の方を向いている。

ルークはコッソリと、警部にメールを送った。

すぐに警部からの返事のメールが届く。

>相手を説得したまえ。<

ルークに気付いたのか、エリザベスは立ち上がって後ろを振り返った。

驚くルーク。

エリザベスと目が合って慌ててケータイをポケットに入れた。

「ルーク」

ルークに歩み寄るエリザベス。

「戻って、来たんだね」

「ワタシヲ、ステナイデ」

「もう、君を棄てないよ」

「ルーク、アイシテル」

「僕も、君が好きだ。」

「?」

初めて笑みを見せたエリザベス。

ルークの方は厳しい表情を見せる。

「…だけど僕は、君を絶対に許せない。ジミーやフレデリカを、殺してしまったからね。これ以上、僕の為に何も関係の無い人間が犠牲になるのは…ゴメンだ」

「ルークハ、ワタシノコイビト…。ダレニモ、ワタサナイ」

「だからと言って、人を殺してもイイと言う理由にはならないだろう!?
そんな、身勝手な女性なんて、僕は好きになれない!」

「…」

「今から、警察に行こう。いくら僕の事を好きだと言っても、犯罪者をかくまうワケにはゆかないから」

警部にメールを送るルーク。

>了解した。<

警部からの返信メールである。

ケータイを閉じたルーク。

この時…、

エリザベスは鬼気迫る表情でルークに近寄って来た。

「エリザベス!?」

「ワタシハ、ドコヘモ、ユカナイ」

「僕を殺す気なのかッ!?」

「…」


何も返事せず、歩み寄るエリザベス。

両手にはそれぞれ.包丁が握られている。

危険を感じたルークは逃げだそうとしたが、サッとエリザベスが行く手を阻んだ。

「やめろッ!」


つづく




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