家の中は勿論、静か。
しかし何だか、異様な空気に包まれているような感じを受ける。
緊張した思いで部屋のドアを開けて電気をつけてみる。
…すると、いた。
エリザベスだ。
椅子に腰掛けたまま、窓の方を向いている。
ルークはコッソリと、警部にメールを送った。
すぐに警部からの返事のメールが届く。
>相手を説得したまえ。<
ルークに気付いたのか、エリザベスは立ち上がって後ろを振り返った。
驚くルーク。
エリザベスと目が合って慌ててケータイをポケットに入れた。
「ルーク」
ルークに歩み寄るエリザベス。
「戻って、来たんだね」
「ワタシヲ、ステナイデ」
「もう、君を棄てないよ」
「ルーク、アイシテル」
「僕も、君が好きだ。」
「?」
初めて笑みを見せたエリザベス。
ルークの方は厳しい表情を見せる。
「…だけど僕は、君を絶対に許せない。ジミーやフレデリカを、殺してしまったからね。これ以上、僕の為に何も関係の無い人間が犠牲になるのは…ゴメンだ」
「ルークハ、ワタシノコイビト…。ダレニモ、ワタサナイ」
「だからと言って、人を殺してもイイと言う理由にはならないだろう!?
そんな、身勝手な女性なんて、僕は好きになれない!」
「…」
「今から、警察に行こう。いくら僕の事を好きだと言っても、犯罪者をかくまうワケにはゆかないから」
警部にメールを送るルーク。
>了解した。<
警部からの返信メールである。
ケータイを閉じたルーク。
この時…、
エリザベスは鬼気迫る表情でルークに近寄って来た。
「エリザベス!?」
「ワタシハ、ドコヘモ、ユカナイ」
「僕を殺す気なのかッ!?」
「…」
何も返事せず、歩み寄るエリザベス。
両手にはそれぞれ.包丁が握られている。
危険を感じたルークは逃げだそうとしたが、サッとエリザベスが行く手を阻んだ。
「やめろッ!」
つづく