事件発覚
10時過ぎ頃、裕二は事務所に入った。
「おはようございます」
水野早紀が、挨拶をした。彼女は、半年前、突然雇って欲しいとやって来た。東京の大学を出た後、就職したが、25歳で退職した。眼鏡をかけて、見た目地味な感じだが、真面目で気が利く、品のある女性だった。
「午後2時に、依頼人の方が来ます。その後・・」
早紀が、予定を報告している。その時、来客を知らせるチャイムが鳴った。
「久しぶりぶりですね、警視庁の小林です。」
客人が言った。
「4年ぶりですね。あの時はお世話になりました。しかし、貴方が訪れるという事は、あまり良い話ではないのでしょうね。どうぞ、お座り下さい。」
裕二がソファーに促した。
「今朝のニュース、見ましたか?」
「品川の、殺人事件の事ですか?」
「分かっているなら話は早い、単刀直入に聞きます。4時から7時までの間、何処に居ましたか?」
「ぶしつけに、その質問は、随分ですね。私が疑われてるのですか?」
「まさか、貴方は探偵です。トラブルに係わる可能性は極めて高い。害者の携帯に、貴方の名前があっても不思議は無い。しかし・・」