第12章 ペーパー管理業務
嘱託社員になった最初の仕事はペーパー管理業務でした。 それまで担当されていた30歳代半ばの社員は、仕事のストレスから登社拒否に陥り、私が仕事を引き継ぐ事になりました。
私の席は当然ながら一番末席で、当時の係責から一番遠い席でした。
初めての仕事で、右も左も分からない状態でしたから、一つのペーパーを発注するにも手順が分かりません。 前任者に訊けば良いのですが、前任者は自宅療養していましたから、そのつど一番前の係責の席まで行って訊いていました。
とにかく分からない事が生じると必ず質問に行っていましたから、係責が私の席を最前列の係責の隣に変えてくれました。 おかげで何でも係責に相談ができ、また、係責に入って来る情報をいち早く聞ける最高の席になりました。
ペーパー管理業務は、最初は前任者の手順通りに仕事をしていました。 各担当者に必要な物を聞いて、国内紙は翌月の使用分を月末に発注していました。 海外紙は発注後、入荷まで3ヵ月必要ですから、4ヵ月先の使用予定を調べて月末に発注していました。
業務を引き継いで間もない頃は、ただ言われるままに発注していましたが、数ヶ月が過ぎて仕事に慣れてきた頃、発注したペーパーの余剰分が増加した結果、徐々に在庫量が増加してきた事に気付きました。 1ヵ月単位の発注では、各担当者は安全をみて、余分に要求します。 これでは月末に余剰分が多く発生しても仕方がありません。 もし、1週間単位の発注が可能なら、今より精度良く要求が掛けられ、余剰分も少なくなるはずです。 そのためには、週単位での正確な在庫量が全ての担当者が把握できなければなりません。
私は毎週末に棚卸しを実施して、在庫量を一目で把握出来るようにグラフにして掲示する事にしました。
また、それまで、置き場所が決められていませんでしたが、国内、アメリカ、ヨーロッパと、3つの地域毎に適正在庫量を置くようにしました。 適正在庫は、過去3年間の月毎の使用量の統計を取って決定しました。
この事で、今までより在庫量を約半分に削減でき、毎週末の棚卸しや期末の棚卸しが短時間にできるようになりました。
また、必要なペーパーを探し出すのに、ペーパー置場のレイアウト図を、その場に掲示しましたから、短時間に見つける事が出来るようになりました。
つづく