「さびしいなあ、おい」肩を組んできたのはカオルだ。反動で足がぐらつく。
「おぅ、おはよーカオル。なにがさびしいって?」
カオルは大げさにため息をついて頭を横に振った。
「なにがだって?!おいおい冗談はよせやヒロヤンよぉ。ゆうぱちが違う高校に行ったっていうのになんともないのかぁ?!」
バンバン背中を叩くカオル。
「いたいいたい!さあびしい!さびしいって!いたははっ!」
背中を叩くのはカオルのくせであり、ツッコミでもあり、友情表現でもあった。
そう、ゆうぱちは俺たちとは違う高校へ行ってしまった。実際その高校の方がレベルが高いのかはわからないが、そう言われている高校である。
『瓜志高校(うりしこうこう)に行くって、それ、本気かよ?!ゆうぱち!!』
少し面倒な道を通るとこの小さな入江にでることができる。いわば中学生にしての小規模な隠れ家だ。他の砂浜はゴミが散乱していて汚いが、ここだけは人も来ないためきれいで絶景のスポットになっている。 無論、俺たちだけの、だが。
『本気だよ。うちの姉貴がさ、地元の高校で浪人したんだよ。それに俺最近成績下がってるし…』