未伊子さんがそんな口調(標準語)で挨拶する時は、たいがい妙なコトにこだわっているときだと会社の人たちも知っていた。普段はコテコテな九州弁なのだから…。
以前の質問はなんであっただろう?
そうそう、「野球の背番号について〜!」だったよな。
「いろはにほへと…の次につながる言葉は?」っていうのもあった、あった。
「ラグビーは何故スクラムを組むの?」っていう簡単そうで専門的知識がいるようなコトも聞かれて、答えられなかった〜。
それぞれに、ニヤリとしながらヒマな人は未伊子さんの質問を聞いてみる。
「おはよー、今日はなんかね?」
製造課の溶接班、椎名さん(52歳・妻子持ち)が尋ねた。
未伊子さんはニコニコしながら、
「ホストのアフター?ってなんですか、知ってマスか?」
「ほ、ホスト?」
「そうそう、イケメンやらお笑いのヒロシがやってるホスト、です」
「この辺にはそんなヤツはおらんよ〜おじさんは知らん!未伊子さんは時々、スゴいことを聞くなぁ、すまん他をあたってくれんかぁ」
頭をかきながら、椎名さんは足早にその場を去っていく。
未伊子さんは思った。
(ホストのいるトコに行くのは女子やけん、女子に聞かんといかんよな〜