「そういえば昨日言ってた浄化能力を高めるもの、って一体なんだ?」
ランスォールが聞いた。
「…そうね。
その話はしておいた方がいいね。
…私たちがこれから集めるのは【三種の神器】と呼ばれる3つの秘宝。悪しきものを討つための剣、敵の凶刃を防ぐ盾、そして弱き者を護るための宝玉。」
20年間ずっとシーラはこの三種の神器を求め孤独な旅をしていたのかと想像するとランスォールの心はチクリと痛んだ。
「宝玉は既に手に入れてあるからあとは剣と盾。」
「前にあらゆる攻撃を防ぐっつー盾があるって聞いたな。」
「どこか思い出せないか?」「うーん…。」
ラウフはしばらく自分の記憶の棚をあちこち調べたが結局思い出すことは出来なかった。
「悪ぃ…わかんねぇわ。」
「それじゃせめて次の目的地を決めよう。」
ハラリと地図を広げた。
今いる港町キジルから一番近くある程度情報の入りそうな町を探しているとシーラが見つけた。
「…オーウェンの町なんかは?」
オーウェンはキジルより少し小さめだが情報収集するには十分な町だ。
「そうだな、オーウェンにはリタがいる。」
「「…リタ?」」
ランスォールとシーラの声がシンクロした。
「知り合いの情報屋だよ。腕は結構優秀な奴さ。」
「よし、決まりだな。」
目的地を決め三人は歩き出した。
空には綿のような雲が浮かび暖かい日差しが柔らかに降り注いでいた。