未来花

龍王  2006-06-03投稿
閲覧数[602] 良い投票[0] 悪い投票[0]


悪魔は何でも願いを叶えてくれる…

でもその代償は高い…

だから誰も悪魔に願いを言わない

でも
例え何かを引き代えにしても

願うものがあったら
人は悪魔を呼ぶものだ



月の無い夜。
人気のない場所。
悪魔を呼ぶ魔法陣。

かの者は禍禍しい空気を放ちながら、魔法陣からゆっくり浮き出てきた。
頭から足元まで姿を現した〈悪魔〉は人を惑わす美しい容姿に黒い服を着ていた。人となんら変わり無い姿をしている。
『我を呼び起こしたのはそなた?』
瞳を開けた美女は不気味な血の色の目をしていた。
「…ッ…あ…」
悪魔を呼び起こした男はあまりにありえない光景に言葉を忘れる。
悪魔はそんな震える男を見てクスクス笑っている。
『かような若き男が我に何ようじゃ…?』
悪魔は男を馬鹿にすると、風を操り風を吹かせ、小さな竜巻で男を取り囲む。
己の〈力〉を見せ付けるように使い、更に脅かす。
男はガタガタ震えながらも勇気を振り絞り震える声で叫んだ。
「どうか!娘の病気をお治し下さい!どうか」
悪魔はそれを聞き、笑い声をあげる。
『フ、ハハ…ほんに人間は面白い生き物じゃ。そんな願いに命をかけるのかえ?』
男はそれに答える。
「私の命で娘が助かるなら…この命惜しくはありません…」
『我は…どんな契約でも願いを叶えよう。命と引き代えに願うのは娘の病気を治すでいいのじゃな?』
男は深くうなづき、悪魔を真っ直ぐ見つめた。
『馬鹿な生き物じゃ…ほんに…』





それから数十年後

同じ時、同じ場所で悪魔を呼ぶ魔法陣が描かれ儀式が行われている。
『誰だ〜俺を呼ぶのは〜メンドクサイことしやがって〜』
違うのは下級悪魔を呼び起こしてしまったと言う事。
『あぁ〜?ガキじゃね〜か?何の用で呼びよせたんだ?』
悪魔は契約主を威嚇し睨みながら言った。
「パ…パパを殺した悪魔を…探しだして欲しいの…そ…それで…」

その小さな少女は、前に悪魔と契約し、その命と引き代えに病気を治すよう願った男の娘だった。

「敵をとって!!」
『はぁ〜?なんだそれ』

どんな理由でも父を殺した悪魔を娘は許せなかった。
父は娘が生きる事を願ったが、娘はその命で父の敵をとる事を願った。

命と引き代えにする程の想いなんて
悪魔には一生分からない事だった…



投票

良い投票 悪い投票

感想投稿



感想


「 龍王 」さんの小説

もっと見る

ファンタジーの新着小説

もっと見る

[PR]


▲ページトップ