冷ややかな朝方の空気がランスォールの頬を撫でた。薄目を開けると風に靡く白いカーテンと見事な銀髪があった。
(…シーラ?)
寝惚けているのか声が上手く出ない。
視線を彼女から天井へと向けた。
…静かな唄が聞こえてきた。懐かしいような、でもどこか淋しげで憂いを含んだ唄が。
静かに、目を閉じた。
唄をよく聞くためか、もう一度深い眠りにつく為に。
…そうだ、この唄は…
……あの人が…うたってた…うた……
「ランス!起きて!」
シーラの大きな声でランスォールは飛び起きた。
「ぬぁ…な!?」
「寝惚けてないで、早くしてよっ。もうお昼前なんだからっ!」
窓の外を見れば確かにもう太陽は随分高い所にある。それにお昼だと言われるとなんだかお腹も空いてきた気がする。
「…あれ、ラウフは?」
「ランスがあまりにも寝坊助なんで先に行きました」シーラがぴしゃりと言った。
「情報屋の場所のメモは貰ったからこれから行くのよ?」
「ん。迷惑かけて悪かった」
それから二人がラウフのメモにあった情報屋に行くとそこにいたのはラウフと桃色の髪を後ろでダンゴ型に束ね赤いメガネを掛けた女性だった。