最低な気持ち?

龍王  2006-06-04投稿
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去り際に椿が言った。
『あんたもし鞠花が好きだと言っても一緒に深みにハマるつもりないんだろ?あんたのその気持ちは〈愛〉なんかじゃなくてただの束縛だ…』



「…椿…?何してるの…」
鞠花が散歩していると、公園から出てきた椿にハチ会う。
「別に…」
「別にって…えっ…Σ蓮華?!」
公園内に目がいくと、地面に尻をつき倒れている蓮華の姿が見えた。
鞠花は、慌てて公園に入り駆け寄る。
「…鞠花…?」
椿は、取り乱しながら蓮華に駆け走る鞠花に驚いている。
「蓮華?どうしたの?顔…腫れてるじゃない!誰かに殴られたの?」
「…」
「蓮華…」
無言でうつむいて顔をふせる蓮華に、心配しながら鞠花が手を伸ばし、腫れた頬に触れようとした。
ガシッ───
頬に触れる前に蓮華は鞠花の手を掴み、制止した。
「蓮華…?」
蓮華は鞠花の手をグッと強く握り、鞠花に顔を近付けた。
顔と顔の距離が縮まり、唇が触れるギリギリまで顔が近付いた。
「…蓮…華?」
鞠花が名を呼ぶと、唇に触れる寸前に蓮華は止まった。
「──……鞠…俺…」鞠花の手を握ったまま蓮華が、何かを伝えようとしている。
「?」
「俺…」
もう一息と言う時、遠くから蓮華を呼ぶ声が聞こえた。
「蓮華〜!?蓮華ったら〜待ち合わせ時間に来ないから迎えに来たよ〜!」
蓮華の彼女がタイミング悪くデートの迎えに来た。彼女の姿を見た蓮華は我に返り、鞠花の手を放した。
「……行って…」
鞠花に促され、蓮華は公園の外から呼ぶ彼女の元へと向かった。公園から出る時、椿とすれ違った。
「──……鞠花はあんたには絶対渡さない」
蓮華は椿に何も言い返さず、彼女の元へ行った。蓮華が立ち去り、一人になった鞠花の傍に椿が近寄る。
「───……鞠花」
「……椿…私は…」
椿は震える鞠花を強く抱き締めた。
「私は……蓮華を…愛してる…」
椿は黙って鞠花を抱き締め、言葉を聞く。
「こんな最低な気持ち…私は知りたく無い。違う!私は……愛なんて知らない……知らない!!」
鞠花は義理の兄を愛していた。でもそれは許されるはずの無い最低な気持ち。だから鞠花は〈愛〉を知らないと思い込み。愛を分からないと言い続ける…
兄に対するこの感情は愛じゃない…
愛なんて分からない

そう
思い込み続けた想いが徐徐に解き放たれていく…

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