幼馴染-osananazimi-

こたつ  2008-08-28投稿
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ある日風船を見つけた。
「助けて」と書いてあった。
俺はその風船を手にとった。
ゴムと土と潮の香りがした。
昨日は雨が降った。
俺は走った。
海が見える丘まで。
崖の下を覗くと。
居た。
幼馴染みのバカ女。
「なんで分かったん?」
「アホ。お前の汚い字何年見とると思とる。」
「…ありがと。」
「バ〜カ。泣くな。」
俺は手をしっかり握り、コイツを引き上げた。
「…怖かった。」
泣き止むまで抱き締めてやった。
「傷痛むか?」
「うん。ちょっと。」
腕の傷を舐めた。
「っっちょっと?!何するん?」
ちょっと驚いた様子だった。
「動くなよ。消毒。」
「汚い。」
「ひどっ。立てるか?」
「うん。」
ゆっくり立ち上がった。
「帰ろか。」
二人で歩き出した。
「なんであんなとこにいたん?」
「なんでって…今日何の日か覚えとる?」
「さぁ〜何かあったか?」
「ひど〜い。」
本当は覚えてる。
ちょうど10年前、ここで初めて会った。
その日は手を繋いで帰った。
だから、今日も俺は手を繋いだ。
「覚えとるやん…。」
好きな子は恥ずかしそうに呟いた。
「…当たり前やろ。」
俺も呟いた。

甘酸っぱい15才の夏の思い出。

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