ライス達が王宮に辿り着いたのは、昼前になってからだった。
「申し訳ありませんが、皆さんこちらで少々お待ち下さい。中に入る許可を貰ってきますので」
ライスはそう言うと、門の前に立つ門番に一言二言声を掛けて、王宮の中に入って行った。
「へえ…」
ミリスは王宮を見つめながら、感嘆のため息をついた。
「やっぱり大きいわね…。さすが、『マジックパレス』ね…」
「まあ、政治と軍事の中心だからな。人も多くなり、組織もでかくなると、必然的に大きい建物が必要になるんだろう」
セイルは眩しそうに王宮を眺めながら、言った。
「リグラ様!」
「?」
リグラはノックもせずに宰相府に入って来たライスを、怪訝そうな顔で見つめた。
「突然で申し訳ありません。ロイ君の父上、ライル様とその叔父一家が、どうしてもロイ君に会いたいと言うので連れて来てしまったのですが…」
「何?ライル殿とその叔父一家が…?」
そう言った瞬間、リグラは大きく目を見開いて、読んでいた書類を勢い良くデスクの引き出しに放り込むと、
「すぐに中に通すのじゃ!応接室に案内せよ!」
と、命じた。
「はっ!」
ライスはその命を受けて、急いで宰相府から出て行った。