情報屋リタから剣の在処を聞き、居酒屋で夕飯をとっていた時だった。
「そういえば二人の生まれって何処なの?」
シーラが聞いた。
「オレは生まれた時からキジルだよ。情報屋だって元は外を知るためだったしな。」
ラウフが先に何気無く答えた。
「…さぁ、どこだろうな。」「ランス?」
「わかんねぇんだ。ただ、遠い小さな村だった。ガキん時だからな。風車があって、夕日がキレーだったんだ。」
フォークを玩びながらランスォールが言う。
「…ごめん。」
シーラが謝るとランスォールは小さく笑った。
「なんでお前が謝ってんの。それより、シーラはどうなんだよ?」
「私?私の生まれは結構大きな町よ。機械都市サントラーセット。名前ぐらいは知ってるでしょ?」
機械都市サントラーセットといえば王都の次に栄えている町だ。
「…社長令嬢かなんかか?」シーラがクスリと笑った。「違うわよ。」
機械都市なら、生きた人間から浄化の力を奪う装置があってもおかしくない。
そう思うとランスォールはシーラのようには笑えなかった。
それから三人は居酒屋をでて宿屋に戻った。
リタから、キジルで三人を探す奇妙な集団が目撃されていて、次はオーウェンに向かっている、との情報が届いていたため予定より少し早く、この町を去ることになった。