この日も何時もの様に聖人と一緒に登校したんだ。
あたし達は、たわい無い話をしながら教室へ向かった。
『‥でね、聖人、それでね――』
『おぅ。』
ガラッ―ー‐
聖人が教室の扉を開けた。
この日の教室は、何時になく重苦しい空気が漂っていた。
バンッ―ー‐
何時もの様に、自分の席に乱暴にカバンを置く聖人に、
斜め後ろの席に座っていたタツヤが突然、吐き捨てる様にこう言ったんだ。
『アツイアツイ!!真冬だというのに、おかしいなぁ。
今日はアツイねぇ。
こうやって目の前でイチャつかれるとよぉ。』
タツヤは挑発する様な、さげすんだ目付きで聖人を見ていた。
『‥んだとコラァ。』
聖人は、キッとタツヤを鋭い目付きで睨み付けた。
あたしは、聖人に歩み寄り、
また、前みたいにケンカになってはマズイと思い、
なんとか、この場を治めようとしたんだ。
『聖人。やめよう。タツヤには言わせておけばいいじゃん。』
あたしの言葉に、聖人は何の反応も無く、
ただ、タツヤを睨み付けている。
聖人は、たえていたんだ。
何とか怒りを鎮めようと、
気持ちを落ち着かせようと、たえていたんだ。
この後に続くタツヤの一言が無ければ、
それで、この場は治まっていた筈だった。
なのに――
『聖人君。今日は、どうしたの?!
元気無いなぁ?!
僕、張合い無いよ?!
昨日は、ヤリまくっちゃった?!
3発?!4発?!
それとも5発?!
体力消耗激しいから、エッチは控えめにしとかないと!!
ひゃっはっはっはっっ!!』
タツヤ――
酷い――
何でタツヤにそこまで馬鹿にされなきゃならないの?!
クラスメイト達の視線は、みんな――
聖人とあたしに集中している――