時空携帯 5話

小鉄  2008-08-31投稿
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ギャンブルの教え

14258倍、100円が、142万円になる馬券だ。その日、裕二は、東京競馬場に居た。7レースから買って、11レースまでに、25万円程負けていた。最終の12レースに、挽回を狙って、勝負を賭けていたのだ。3連単の30点に1000円づつ買うのを止め、8点ボックスの330点を100円づつ買う事にした。ところが、これが大当り。ブービー人気が、1着にきたのだ。これが、大万馬券の立役者になった。裕二は苦笑した。皮肉なもので、いつもは、この馬は絶対来る、と予想したもので勝負をすると、たいがい外れるのだ。だから今日は、この馬は絶対こない、と予想した馬券を買ってみた。その結果がこれなのだ。ギャンブルには、よくある事で、思いもしない結果がでる事がある。しかし、結果が出てから、よく考えると、見落としてた部分や、判断の誤りが見えてくる。つまり、人間の頭で考えて、これから起こる現実の結果を、予想する行為は、いかに偏った、そして全体の一部分しか見えてないかを、教えてくれる。特に、追い込まれると、都合の良い解釈をして、全体を見ようとしなくなる。そんな時こそ冷静に、持論を疑ってみる事が必要だ。

馬券を換金し、ベンツのエンジンを始動した時、メールが来た。

《裕くぅ〜ん、ごは〜ん、つれてってぇ?》

真紀からだ。行きつけの店に最近入った子だ。軍資金も、たっぷりあるし、今日は、派手に飲むか。

6時に迎えに行く、と裕二はメールした。



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