ち、違う。
何言ってるのよ、タツヤは!!
バ、バカ。
やめてよっっ!!
やめてっっ!!
や‥‥やだ‥‥‥。
恥ずかしさと悔しさで、あたしは顔が徐々に赤くなっていくのが分かった。
聖人の手には、拳がギュッと握られていた――
その手が小さく小刻みに震えている――
聖人は今にも爆発しそうな怒りを抑えるかの様に、大きく息を吐いた。
そして――
『何が言いたいのよ?!タツヤ?!』
斜めに傾けた顔。
聖人の少し長めの前髪から覗く、キレ長の奥二重の目は、
見る見るうちに、鋭さを増していった。
すると――
タツヤは何を思ったか、
今度は、あたしに向かってこう言ったんだ。
『なぁ木下。キモチイイからってナマでやるなよ?!
またまた赤ちゃん出来ちゃう〜〜っっ!!
ひゃっはっはっはっっ!!』
カアァァァ―ー‐
は、恥ずかしさと悔しさで――
か‥顔が上げらんないよ――
『‥タツヤ‥‥てめぇっっ―ー‐』
ガンッ―――\r
聖人はタツヤに向かって椅子を蹴り上げた。
ガラガラガッシャ―ー‐
『怒れ、怒れ!!
俺は、てめぇが入学したトキから気にいらねぇんだよ!!
女みてぇなツラしやがって、スカしてんじゃねぇぞコラッッ。』
ドスッ―ー‐
先に手を出したのは、タツヤだった。
タツヤの拳は、聖人の左頬にヒットした。
『別に、てめぇに気に入られようとは思っちゃいねぇよ!!』
ドカッッ―ー‐
聖人もタツヤに一発返した。
聖人の拳は、タツヤの顔面を捉えた。
そのパンチ力は勿論の事――
パンチの速さに――
あたしは思わず息を呑んだ――