聖人とタツヤに身長差は、そんなに無い。
けれど――
実力の差は、かなり有り過ぎると思った。
『‥‥い‥痛ぇ‥‥‥‥‥。』
一言そう漏らしたタツヤの鼻から鼻血が流れ出て来た。
ドクッドクッと、かなりの量の出血だ。
聖人の一発は、凄い破壊力なんだ。
“キャーッ。血よ!血よ!!”
“お見事っっ!!”
“鼻折ったんじゃねぇの?!”
“まさかぁ〜。”
“おい。ヤバいんじゃね?!血が止まらねぇってよ。”
思わぬ場面での出血は、更にクラスメイト達の興味をそそる。
『おらっ!!どうしたタツヤ?!まだ一発しか返してねぇよ俺。てめぇには日頃世話になってるからな。もう一発位、お返しさせてもらおうか?!』
聖人は、顔中鼻血だらけのタツヤの胸ぐらを鷲掴みにして、
そのままジリジリと壁際まで追いやり、
タツヤを壁に向かって叩き付けた。
ドンッ―ー‐
タツヤは体を壁に叩き付けられたかと思うと、へなへなとその場にヘタレ込んだ。
ガラッ――
その時、突然教室の扉を開く音がしたかと思うと、
担任の渋川が入って来た。
『こらっっ!!北岡!!またお前か!!』
恐らく、お喋りのサチヨが、職員室にいた渋川にチクったのだろう。
だって――
渋川の後ろでニヤニヤしながらこっちを見てるサチヨの姿が見えたから。
『サチヨ。タツヤを保健室まで連れて行ってやりなさい。』
渋川がサチヨに向かってそう言うと、
サチヨは、かろうじて自力て立ち上がる事が出来たタツヤに付き添い、
教室から出て行った。
『北岡。何故、お前はそんなに問題ばかり起こすんだ?!』
再び、こちらに向き直った渋川が聖人に言った。