「え…?どうして私の名前を…?」
まだ自己紹介をしていなかったセイルは、驚いてリグラを見た。
「いや、失礼。実は今回の事件で貴方達一家が被害に遭った事が、ロイ君の話で分かりましてな。そこでベイスに登録されている鍛冶職人を調べた所、貴方の名前があったのです」
「なるほど」
セイルはそれを聞くと、納得したように頷いた。
「お尋ねしたい事というのは、貴方達は誰に助け出されのたか、という事なのです」
「…誰に…ですか?気が付いたら砦の中にいたので、特定の個人というのは分からないのですが…」
「そうですか…」
リグラは一つ小さく首を傾げると、ミリスとエミリアの方を見た。
二人はリグラの視線を嫌うようにして、一瞬、目を反らした。
なるほど…―\r
リグラは内心、苦笑しながら小さく頷くと、
「そうですか。変な事を聞いて申し訳ありません。…どうも、事件のせいで私もナーバスになっておるようですな」
と、頭を掻きながら、言った。
「えっ!姉ちゃん達が!?」
「生きてたんですか!?」訓練所にいた三人は、セイル一家が生きているとの報告に、驚きの声を上げた。「今、応接室にいます。会いに行ってあげて下さい」「分かりました!」