悔しくて‥‥悔しくて‥‥‥。
泣きそうなのを必死に堪えて叫んだんだ‥‥‥。
だから――
喉の奥から込み上げて来る悔しい気持ちと――
悲しい気持ちで――
喉が痛くて――
痛くて――
『みんな‥‥見てたじゃん‥‥‥。
見てたじゃん‥‥‥‥‥。』
最後には、もう声にならなくて――
あたしの目から大粒の涙が溢れ出た――
渋川は、そんなあたしを冷たく見ていた――
銀縁の眼鏡の奥の、
細い冷酷な瞳で――
クラスメイト達は、誰一人として、
口を開いてくれなかった――
何も言ってくれなかった――
此処にいるみんな、
1-3のクラスメイト達は、みんな――
聖人とタツヤの件について、
全て、経緯を知っている筈なのに――
『奈央。もういいから。』
聖人は、何時もの様に、あたしの頭をポンッ‥て優しく撫でてくれた。
そして――
教室から出て行こうとする渋川に、こう言ったんだ。
『おい渋川。さっき、義務教育がどうとか言ってたよな?!
バーカ。
義務教育だろうが、無かろうが、
俺は何とも思っちゃいねぇよ!!
“自分が一番可愛い”てめぇと一緒にすんな!!
学校なんて出て無くたってな、
てめぇの様な腐った大人にだけはならねえ自信があるぜ!!』
聖人は、渋川を睨み付けている――
そして――
渋川もまた、聖人を睨み付けていた――
クラスメイト達は、
最後まで、ただの傍観者のままだった――
『フッ。まぁ、粋がっていられるのも今のうちだ。』
渋川は、最後にそう吐き捨てると、
教室の扉へ向かって、一歩踏み出した――
―と、その時――
『先生!!待ってください!!』
なんと、その声の主は――
秋田谷 ユカの声だった――