奈央と出会えたから。<210>

麻呂  2008-09-01投稿
閲覧数[573] 良い投票[0] 悪い投票[0]


悔しくて‥‥悔しくて‥‥‥。



泣きそうなのを必死に堪えて叫んだんだ‥‥‥。



だから――



喉の奥から込み上げて来る悔しい気持ちと――



悲しい気持ちで――


喉が痛くて――



痛くて――





『みんな‥‥見てたじゃん‥‥‥。

見てたじゃん‥‥‥‥‥。』



最後には、もう声にならなくて――



あたしの目から大粒の涙が溢れ出た――


渋川は、そんなあたしを冷たく見ていた――



銀縁の眼鏡の奥の、


細い冷酷な瞳で――


クラスメイト達は、誰一人として、



口を開いてくれなかった――



何も言ってくれなかった――



此処にいるみんな、


1-3のクラスメイト達は、みんな――



聖人とタツヤの件について、



全て、経緯を知っている筈なのに――





『奈央。もういいから。』



聖人は、何時もの様に、あたしの頭をポンッ‥て優しく撫でてくれた。



そして――



教室から出て行こうとする渋川に、こう言ったんだ。



『おい渋川。さっき、義務教育がどうとか言ってたよな?!
バーカ。

義務教育だろうが、無かろうが、

俺は何とも思っちゃいねぇよ!!

“自分が一番可愛い”てめぇと一緒にすんな!!

学校なんて出て無くたってな、

てめぇの様な腐った大人にだけはならねえ自信があるぜ!!』



聖人は、渋川を睨み付けている――



そして――



渋川もまた、聖人を睨み付けていた――


クラスメイト達は、


最後まで、ただの傍観者のままだった――





『フッ。まぁ、粋がっていられるのも今のうちだ。』



渋川は、最後にそう吐き捨てると、



教室の扉へ向かって、一歩踏み出した――



―と、その時――





『先生!!待ってください!!』



なんと、その声の主は――





秋田谷 ユカの声だった――



投票

良い投票 悪い投票

感想投稿



感想


「 麻呂 」さんの小説

もっと見る

恋愛の新着小説

もっと見る

[PR]


▲ページトップ