「あ…ちょっと待ちなさい!」
ライスは応接室に向かおうとする三人を、慌てて呼び止めた。
「何ですか?」
「君達を襲った犯人の名前を伏せておいて欲しい…と、リグラ様から言付かっている。どうかそのようにして欲しいんだが…」
「犯人って…ロザラムの事ですか?」
「うむ。幼なじみである彼女達にこの事が知れたら、無用な混乱を招きかねない、との事らしい」
「…確かに…。もしかしたら、ロザラムさんを匿ってしまう可能性もありますね…」
リリーは冷静に状況を判断しながら、頷いた。
「なら、僕達は誰に襲われたと言えばいいんですか?」
「フードの人物やグラムとは別の、目つきの悪い男に突然襲われた、と言えばいいらしい」
「…はあ…」
「ロザラムの名前さえ出さないでくれたら、後は何を話しても構わないという事だそうだ。すまないが、協力して欲しい」
ライスは真剣な顔で、三人に頭を下げた。
「わかりました。ロザラムさんの事は伏せておきます」
ロイ達三人はそう言って、真剣な表情で頷いた。
「ありがとう。さ、ロイ君とルイス君、私が抱きしめてあげよう!飛び込んできたまえ!」
ライスがそう言って手を広げた瞬間、ロイ達は一目散にその場から逃げ出した。