一体どれくらいの時間がたったのだろう?
教室に戻ってきたケンイチを見て、クラスメート達は驚いた。
もはや別人と化していたのだ。
「せんせぇ・・・せんせぇ…」
うっとりした表情で宙を見つめ、よく分からない言葉を呟いている。
足腰が立たないのか、中腰の姿勢になり歩行も困難なようだ。
だらんとした口から涎が垂れ、鼻血もダラダラだ。
もはや、かつてのイケメン優等生ぶりはそこには無かった。
「ケンイチ!一体どうしたんだぁ!?」
「何をされたんだ!?」
クラス中がケンイチの回りに集まってきた。
「…ロ、ロケットが・・・」
「はぁ!?」
「トンガリロケットが…ふたつ・・・」
「??」
全く意味不明な発言に生徒たちは皆顔を見合わせる。
「ロ、ロケット・・・」
ケンイチは再び呟くと、その場にぱったり倒れてしまった。
「ケンイチ、しっかりしろ〜!」
少年たちが体を抱き起こす。
ケンイチはうっとりした表情で「先生…先生…」と呟くばかりだ。目がハートになっている。
「一体何が起きたんだぁ!?」
クラス中が騒然となる。
「ケンイチ君には、ちょっと刺激が強すぎたかしら?」
ブラウスのボタンをとめながら、裕子はぺろっと舌を出した。
(続く)