「…ヨージはとりあえずダンスサークルの仲間集めだね。」
「実穂は、どっか良いところに一人暮らしして、就職だな。」
「なんで一人暮らしも目標になってるの?」
「俺のとこに来やすくなるから…。実穂を泣かせるならご両親のところにだって居てほしくない。」
「それは私がダメだから…。」
ヨージはぐっと力を入れて実穂を抱き締めて言った。
「ダメなんかじゃない…!実穂は、ダメなんかじゃないから。」
力強い言葉にまたしても涙がこぼれる。
就職もろくにできない、アルバイトも失敗ばかり、彼氏も居なかった実穂に、初めて味方が出来た。
「こんな……こんな…私で……いい…?」
「良いよ、そんな実穂で。
好きだな〜、俺は。」
頭を撫でてもらう度に、言葉をかけてもらう度に、ヨージからの気持ちが伝わった。
あの日、ダンスに明け暮れていたあの日、公園の向こう側で練習する男の子たちを実穂は見ていたことを、覚えてはいなかった。
しかし、確実に実穂と良次は、見つめ合っていた。
いつかまた会うことも知らず。