少女の漆黒の瞳はしっかりとランスォールを捉えている。
やがて少女がうわごとのような呟きを洩らした。
「浄化能力者…」
そして少女は真っ直ぐ、人間とは本当にこんな倒れ方をするのかと思うほど真後ろに倒れ気絶した。
「と、とりあえずあの中で様子を見ましょ?」
目の前で倒れられあからさまに動揺しているランスォールにシーラはまだ辛うじて家の原型を留めていると思われる廃屋を指さしそう声を掛けた。
「う…ん…」
「気が付きましたか?」
シーラが優しく声を掛けたが少女は起き上がると疑うような目付きで三人を見回した。
手は懐から離さず言った。「あなたたちは…」
「まだ動かない方がいいぜ」コーヒーを飲みながらラウフは少女には目もくれずに注意を促す。
「安心して。私たち、ただの旅人だから。」
「ここは旅人すら立ち寄らない、神秘の村。狙いは、剣ですか。」
警戒の色を一層濃くした少女が言う。
ラウフはニヤリと笑いようやく瞳を少女に向けた。
「わかってるなら話は早い。剣をよこせ。」
「な…ッ」
余りに率直で強引なラウフの要求に少女も驚きを隠せなかった。