リグラはその様子にもう一度心の中で苦笑して、席を立つと、
「さて…、私はこれで席を外しましょう。積もる話しもあるでしょうからね。何かあったら、また外にいる騎士を通して私をお呼び下さい」
そう言って、部屋を出て行こうとした。
「あ…リグラ様、ありがとうございました」
ライルはリグラに向かって頭を下げながら、礼を言った。
「いや、礼には及びませんよ。…むしろ、こちらから礼をしたいくらいです」
「…は?」
「何でもありません。それでは、また」
リグラは意味深な笑みを浮かべると、そのまま応接室から出て行った。
「?」
ライルは一つ小さく首を傾げながら、ロイ、ルイス、リリーと向かい合う形で椅子に腰掛けた。
「そうだ、ロイ、あんた敵に襲われてたって事だけど、それって本当なの?」
「あ…うん。危ない所だったんだけどね」
それからロイはロザラムの名前を伏せたまま、ベイスで意識を取り戻した時から、ここに飛ばされるまでの経緯を詳しく説明した。
「そうか…。そのロバートという人に感謝しなくてはならんな…」
ライルは無念そうな表情で、唇を噛んだ。
「それにしても、グラムとあの変態ではないとしたら、ロイ達を襲ったのは誰なのかしら…?」