「なっ…!何を言って…」
「私には、」
雪はランスォールの言葉を遮るように言った。
「見ての通り、村は壊滅し、生き残ったのは私一人。危険は承知しています。」どうして、彼女がこんなに旅の同行を希望するのかわからない。
「いいですよ。」
「シーラ!!」
「いいじゃない。私たちだって、あの黒スーツの人たちに追われてるし。それにね、御神家っていうのはね、今ある家の中で一番古い歴史を持つ武家なの。中でも頭首には魔力もある。彼女はその御神の頭首だよ?」
結局、シーラに押しきられ雪の同行は許可せざるを得なかった。
「私はシーラ。こっちはランスォールとラウフ。」
「ランスって呼んでくれて構わない」
「シーラさんにランスさんにラウフさん、ですね。改めて、よろしくお願いします。」
紫の髪で着物を着た少女は深々と頭を下げた。
「次の目的地は?」
「うーん、あ、雪。そういや御神家は剣と盾の両方を所有してなかったか?」
ランスォールは雪に尋ねた。雪は曖昧な答えを返す。「所有はしていました。」
「…今は?」
「世界に散らばる御神の分家で管理しています。」
どうやら雪の家は御神の本家だったらしい。
言われてみれば、丁寧な敬語はその為なのかも知れない気がするランスォールだった。