夜の街

はこもの  2006-06-05投稿
閲覧数[1412] 良い投票[0] 悪い投票[0]

夜の街。無数の暗闇が、いくつかのライトで照らされる。そこでは何もかもが淡くなるので、フランケンシュタインが歩いていたとしても、誰も気付きはすまい。だが僕は気付いてしまった。



仕事が早めに終わり、街をブラついていた。居酒屋の先を曲がろうとした時、僕は大男とぶつかった。

「すみません」大男は言った。

「…」僕は口をきく事ができなかった。その大男はどこからどう見てもフランケンシュタインなのだ。

「どうかなされましたか」フランケンが言った。

「フランケンシュタイン」僕は言った。これ以外の言葉が出てこなかった。

「はい」フランケンがこたえた。「私はフランケンシュタインですが、それがどうかしましたか」

「…」どうしても言葉が出てこなかった。

「何も不思議な事ではないではありませんか」誰もフランケンの方を見たりしなかった。「一昨日だって、ここの居酒屋でドラキュラと一緒に飲んだんですが、帰りの駅でメデューサに会いましたよ。あなたたちが我々の存在に気がつかない方が不思議でならない」

僕はぶつかってしまった事を詫びて、そそくさとフランケンの前を去った。



たまたま、この街にそういった連中が多いのだろうか。僕はその日は眠る事ができなかった。

i-mobile
i-mobile

投票

良い投票 悪い投票

感想投稿



感想


「 はこもの 」さんの小説

もっと見る

ホラーの新着小説

もっと見る

[PR]


▲ページトップ