伝説の始まり
二人は、銀座の日本料理店に居た。座敷の部屋で、ゆったりとしたスペースが、ここち良い。お造りや創作料理をつまみながら、日本酒を嗜んでいた。
「裕くんて、不思議だよね。いつも遊んでる感じだけど、お金持ちだし、いろんな事知ってるし。お坊ちゃまか、悪い人でしょ?
もし、そうなら、マキをお嫁さんにしてよ」
「おい、おい。悪い人って何だよ。やくざかよ。真紀は、やくざの、お嫁さんでも、いいのかよ」
「マキは、お金持ちなら、誰でもいいの。ルックスが良ければ、完璧だけど。裕くんなら、最高ね」
「俺は、合格か」
裕二は、苦笑しながら言った。
坂田真紀、自称24歳。銀座に来て間もないと言う。スリムなボディとは反対に、おっとりした顔立ちで、天然系だ。たまに、とんでもない事を、言い出す。しかし、ドロップアウトして、投げやりな生活をしている裕二には、妙に癒される相手だった。
「真紀は、お金持ちになって、何がしたい?」
裕二が、聞いた。