「旅がしたいな。世界中旅して、美味しいもの食べたいし、お買い物もしたいの」
「そのぐらいなら、叶うんじゃないか。玉の輿にのっちゃえば」
「そうなんだけど、もっと贅沢したいの。時間を越えて旅がしたいの。過去や未来に行ってみたいな」
話が、可笑しくなってきた。裕二は、悪乗りしたくなり、聞いてみた。
「それには、タイムマシーンが必要だな。それを買うには、そうとうの金持ちじゃないと無理だろ?」
「そうね、世界で10番ぐらいじゃないと、無理ね。でも、時空携帯ぐらいなら、買えるかも」
「時空携帯、何それ?」
「知らないの。ちまたで話題になってるのに。過去や未来と話せる電話。店に来るお客さんで、未来から電話が来た、って言ってたよ」
「それは、便利な電話だな。もし、それがあれば、大金持ちになれるだろ。明日の、当たり馬券が解るんだから」
馬鹿にした感じで、裕二が言った。
「ところが、不思議な事に、その電話に履歴が残らないんだって。掛けてみようとしたら、無いんだって、履歴が」
真紀の言葉に、裕二は驚いた。あの電話を思い出したのだ。俺の時と、一緒だ。