裕二は、真面目になって、聞いてみた。
「その通話の、記録は確認したのか? 電話会社の」
「もちろん、すぐにね。でも無かったらしいわ。時空携帯に、記録は残らないの」
裕二は、戸惑っていた。自分に起こった出来事に、あまりにも、一致している。あれは、夢でも見たんだろう、と思う事にしていたが、同じ体験をした人が、居るのか。思わず裕二は、言っていた。
「その人に、会わせてくれないか。会って話がしたいんだ」
真剣な表情で言う、裕二を見た真紀は、やや間をおいて吹き出しそうに言った。
「ヤダっ、何マジになってるの。そんなの嘘に決まってるじゃない。ちょっと、からかってみただけよ。本気にすると思わなかったわ」
「お客が言ったというのも、嘘なのか?」
「それは、本当よ。お店では、よくあるの、そういう話は。噂話を、面白可笑しく話すのよ。単なる都市伝説よ」
裕二は、格好悪く思い、それ以上聞かなかったが、どうにも、腑に落ちなかった。自分の体験が、殺人事件に関わっているかもしれない、そう思うと、気になるのだ。
その頃、警視庁の小林は、新たな事実を手にしていた。