「…で、今はどこの分家が所有してんのかわかる?」ランスォールにそう問われ雪はしばらく考えてこう言った。
「おそらく、マーガックかと。」
マーガックの町はキジルと同じくらい活気ある町で大きな河の上にある。
「マーガック…。近いな。」「ええ。大体分家は本家の近くの町に隠れ住んでいるんです。」
またあの薄暗く不気味な咎伽の森を抜けるとシーラが地図を広げた。
「えーと…マーガックは森から北に2日、ってところね。」
因みに、この世界では町まで行くのに3日以内なら近いのうちに入る。
酷いときは町から町へ3週間かかるのだ。
「まいったなぁ…」
「ラウフ?」
「マーガックは御神の分家の力が強すぎて俺の情報網が張り切れてない。」
「大丈夫ですよ。マーガックには従兄弟のイツキがいますから。」
どこまで信用できるかわからんが、という言葉を呑み込みラウフは続けた。
「ある程度のはちゃんと入るんだが正確な詳細がな」雪はにっこりと笑った。
「そういえば、従兄弟同士って結婚出来るのよねぇ」雪の顔が耳まで赤くなった。
「なっなっ…!」
「冗談よ。」
シーラは笑ったがしばらく雪の顔は赤かった。